今回は、課目Ⅱ「電気の基礎」の攻略方法についてまとめてあります。
具体的には・・・問題レベル、学習方法&アドバイスの順で解説していきます。
課目Ⅰについては、[エネルギー管理士(電気分野)]課目Ⅰ攻略方法(エネルギー総合管理及び法規)/学習方法付きで解説しています。
難関資格と言われる通称「エネ管」の受験を計画されている方に、少しでも参考になれば幸いです。
注意ポイント
2020年度受験に向けて、筆者が過去問題を解いた所感を元に解説しております。
2020年度無事に合格しました。←2021/1/8追記
学習を始める前段階の学力も計画を立てる上で重要になってくると思いますので、筆者のプロフィールも参考に掲載しておきます。
プロフィール
- 理系大学院卒
- サラリーマン
- 電験三種科目合格あり(理論、法規)
- 電験二種1次試験科目合格あり(理論、電力、法規)
- エネルギー管理士試験は2020年度初受験
※本文中の過去問題は、公式サイトより引用。
Contents
エネ管課目Ⅱ(電気の基礎)
エネ管課目Ⅱ(電気の基礎)は問4~6の、計3題出題となっています。
総括
エネ管課目Ⅱ(電気の基礎)
問4:電気及び電子理論(50点)
問5:自動制御及び情報処理(50点)
問6:電気計測(50点)
(問4~6合計点が60%以上で課目Ⅱ合格)
結論として、難易度は「普通」です。
エネルギー管理士(電気)科目Ⅱについて、過去問5年間分終了😀
❌H30年 解答見ながら学習
❌H29年 解答見ながら学習
❌H28年 正答率58.6%
⭕H27年 正答率85.0%
⭕️H26年 正答率70.6%科目Ⅰに比べると、知識問題にバリエーションがある感じ🤔
情報分野の知識問題は...勘でいきます笑#エネ管— やーま@収益4桁達成 (@EE10018) May 29, 2020
知識問題:比較的例年同様な問題が多いが、問5の情報分野に関しては問題にバリエーションがある。
計算問題:電験(理論)等で電気回路の学習をしていると比較的点数を取りやすい。制御分野も誘導が丁寧なので、過去問を数年間学習すれば◎
それでは各問について、順を追って解説していきたいと思います。
問4:電気及び電子理論(50点)
問題内容は、電気回路に関する計算問題メインとなります。
問題は大きく分けて2種類です。
①交流回路
②三相交流回路
どちらも一瞬「!?」と思うかもしれませんが、難易度自体は「普通」程度です。
一般的に言われる、電験2.5種レベルという表現が適切なように感じます。
チェックリスト
- 過去問演習時は「理解」を大切にする
- 問題の波に乗る
過去問演習時は「理解」を大切にする
過去問演習時は「理解」することに重点を置きましょう。
注意ポイント
過去問演習時は、答えを暗記するのではなく問題の解き方を理解しよう。
問題自体はそこまで難しくないので、過去問演習時に分からなかったところは1つ1つ調べて理解していくようにしましょう。
例:
・何で今の計算に√3が出てきたのだろうか・・・。
・3相交流回路の問題で有効電力求める時って・・・3倍にする?√3倍にする?
等々、疑問点が生じた時は調べてまとめておくと後ほど助かります。
調べる際は、エネ管の参考書を購入するのもありですが、電験(理論)の参考書を持っている方は基礎事項の確認はそちらで十分にできます。
(既に電験取得済みの方や、大学で電気電子を専攻されていた方なら、参考書を使用しなくても問題ないかと思います。)
→お金をかけたくない人はインターネットでもOKです。
そのままネットサーフィンしないように気をつけましょう(笑)
ちなみに、私がお勧めする電験の参考書は、みんなが欲しかった! 電験三種 理論の教科書&問題集 (みんなが欲しかった! シリーズ) となります。
フルカラーで図が多く、初学者の方が学ぶのに大変分かりやすい構成となっています。(実際、私は理論/電力/機械の3冊を持っています。)
問題の波に乗る
エネ管の電気回路の問題は、非常に問題文が丁寧です。
過去問演習をしながら感じましたが、一瞬分からなくてなりそうになっても問題文をきちんと確認すれば解ける問も多くありました。
少しかっこよく言うと「問題の波に乗る」イメージです。
過去問演習時は、問題を解いた後の答え合わせを行う際は、「こういう流れで問題を解かせようとしてたのか!」と流れまでチェックするようにしましょう。
ポイント
・基礎事項の理解を深める
・エネ管の「問題の流れ」を過去問演習を通して確認
問5:自動制御及び情報処理(50点)
「自動制御及び情報処理」では大きく2種類の問題が出題されます。
①自動制御(計算問題)
②情報処理(知識問題)
①自動制御(計算問題)
自動制御の問題が毎年必ず出題されます。
一見難しそうですが・・・実は単純な作業の繰り返しという印象です。
ポイント
・参考書でサラッと内容確認(初学者)
・過去問演習を通して問題の解き方(流れ)をマスターすればOK
・難しいラプラス変換の知識はいらない
私自身制御の学習は昔少しやった程度で、ほぼ忘れてしまい初学者のようなスタートとなりましたが、
参考書で基本事項確認→過去問演習を数年間行うことで十分点数が取れるようになりました。
※全くの初学者の方は、2~3日間かけて基本事項の確認をしても良いかと思います。
毎年傾向が異なる小問が少し出てきますが、問題文に従って解いていくと正解に辿り着けるケースが多々あります。
ごく稀に全く分からない問題が出るかもしれませんが、その時は潔く諦めましょう。
→過去問で学習した内容が全て理解できていれば合格点には十分届きます。
学習する上で1点だけ注意があります。
注意ポイント
エネ管の自動制御の問題では、難しいラプラス変換の内容までは不必要
自動制御=ラプラス変換というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、エネ管の自動制御ではそこまで難しい計算は出てきません。
過去問演習を通して基本事項をおさらいしておけば十分なので、ラプラス変換の参考書を新たに購入して学習する必要はありません。
→その時間を過去問演習に割いた方が、点数が伸びるかと思います。
※今後電験2種の受験を予定されている方は、ラプラス変換の知識も重要になってきますのでご注意下さい。
ポイント
これぐらい分かれば(原理等は理解しなくても)、ラプラス変換の知識としてはOKです。
学習時間を節約したい方は、丸暗記を推奨します。
注意ポイント
2020年度は近年出題されていなかったボード線図が出題され苦しんだ受験生も多かったようです。
ただし他分野で点数を取れれば合格点に到達できたので、基本的には過去問中心の対策で十分だと思います。
(2021/1/8追記)
②情報処理(知識問題)
「情報処理」分野の問題も、毎年問5の約1/2を占めます。
ほぼ知識問題となります。
(たまに10進数の計算などが出てきますが。)
過去問題を5年分解きましたが、問題のバリエーションが多いように感じました。
対策ですが・・・そこまで点数配分が多くないことより、過去問演習を通して出てきた問題のみ覚えていきましょう。
もしエネ管の学習が一通り終わったところで、更に余裕があれば参考書を用いて学習すればいいかと思います。
ちなみに・・・
私が過去問演習をしている中で、出題内容によってこれだけ点数にばらつきができました。
H27:15点(25点中)
H26:3点(25点中)
なので、他の毎年確実に出題される範囲でしっかりとカバーできるようにすることが大切です。
(H26年過去問演習は最終的には他の分野で得点を重ね、課目Ⅱ合格ラインまで達することができています。)
ポイント
過去問演習を通して学んだことが本番出題されればOKという割り切りが大切
問6:電気計測(50点)
「電気計測」も知識問題が多い印象です。
問題内容は大きく2種類あります。
①様々な計器の原理や使用範囲(知識問題)
②回路(電力計算)、ブリッジ回路などなど(計算問題)
①様々な計器の原理や使用範囲(知識問題)
これは過去問演習を通して、暗記するようにしましょう。H28年のように完全知識問題となっている年もあります。
過去問演習5年分やった所感としては、十分に過去問演習のみで対応できます。
過去問演習→解答熟読を繰り返して知識を定着させましょう。
問題パターンもそこまで多くないので、しっかり覚えれば得点源になるかと思います。
また、後述する電気計測の計算問題は「電気及び電子計測」の知識で十分に対応できる年もあるので、問6全体の点数を考えると計器類の知識はある程度暗記できていれば大丈夫です。
②回路(電力計算)、ブリッジ回路などなど(計算問題)
問6も何かしらの計算問題が出題されることが多いです。
問題も特定の分野というよりは、割と幅広いので対策しにくい印象です。
ただし、正直「電気及び電子理論」の知識で完答できちゃうような問題も出るので、過去問演習を通して分からない問題をチェックするぐらいで対応可能です。
ポイント
・各計器の原理や特徴は把握する(頻出)
・計算問題は過去問演習を通して確認◎
学習方法&アドバイス
エネ管課目Ⅱ「電気の基礎」の学習方法&アドバイスについて解説していきます。
過去問演習について
メインの学習方法は、エネ管課目Ⅰと同様に過去問演習となります。
各問の解説であったように、エネ管の試験では過去問に類似した問題が頻出のため過去問演習から入ることをお勧めしています。
ポイント
・過去問演習5年分実施でOK 過去問1周目(10年分)+過去問2周目(5年分)で合格←2021/1/8追記
・過去問を解きながら重要なところのみ念入りに学習する
実際に私が実施した勉強方法(過去問1周目)です。
学習方法
- H30,29年度の過去問を解答見ながら学習
- H28~21年度を自力で解答
H30→H29・・・→H21年度の順番で学習を進めました。
得点(200点満点) | 得点率(60%以上で合格) | |
H30年度 | 解答見ながら学習 | |
H29年度 | 解答見ながら学習 | |
H28年度 | 80 | 58.6 |
H27年度 | 128 | 85.3 |
H26年度 | 106 | 70.6 |
H25年度 | 117 | 58.5 |
H24年度 | 136 | 68.0 |
H23年度 | 140 | 70.0 |
H22年度 | 132 | 66.0 |
H21年度 | 138 | 69.0 |
学習方法は、課目Ⅰと基本的に同じなので簡単に記述しておきます。(詳しく知りたい方は→エネ管課目Ⅰ)
ポイント
試験範囲及び難易度を確認するため、5年分はスピード重視で解き切る。
更にもう5年分は自力で解いていく。
一部重点的に確認が必要な分野以外は、とにかく問題を解きながら感覚を掴んでいきましょう。
過去問演習→解答熟読→頻出分野は内容深堀り
(一部重点分野については後述しています。)
実際、課目Ⅰに引き続き、課目Ⅱも過去問演習中心の学習で十分合格点に達することができました。
過去問演習10年分を1度解き終わったら、2周目にいきましょう。
2周目はテスト本番の気持ちで解いていき、間違えた問題にはチェックをつけて復習を効率的にできるようにしましょう。
アドバイス
これからエネ管課目Ⅱ「電気の基礎」の学習を始める方にアドバイスが2つあります。
ポイント
- 過去問演習>>>参考書(課目Ⅰと同様)
- 重要分野の理解度↑
過去問演習>>>参考書
内容はエネ管課目Ⅰと同じなので簡潔に説明します。
何度もお話しているように、エネ管では過去問と類似問題が頻出です。(電験よりも傾向がつかみやすい。)
なので、1冊過去問を購入してひたすら繰り返し解いていきましょう。
そして、分からないところは参考書を辞書代わりに用いて確認するというイメージで良いかと思います。
注意ポイント
参考書を初めから全部学習するのはNG
私が実際に使用している参考書紹介↓
過去問:2020年版 エネルギー管理士(電気分野)過去問題集
問題量が豊富(10年分)で約2600円と大変お得。コスパ最強の教材です。
参考書:技術講座専門のJTEX→「エネルギー管理士受験講座」
通信教育で高価です。ただ、内容は全て網羅されているので、自主学習が不安な方にはお勧めです。
その他:みんなが欲しかった! 電験三種 理論の教科書&問題集 (みんなが欲しかった! シリーズ)
「電気及び電子理論」のところで紹介した電験の参考書です。図が多くフルカラーで分かりやすいです。理論分野が苦手な方にはお勧めです。
課目Ⅱ「電気の基礎」重要分野
「電気の基礎」で重要なポイントを紹介します。
※この分野は注力して学習しましょう。
問4「電気及び電子理論」
・交流回路
・三相交流回路
(問4の内容は基本的に全てしっかり理解しましょう。)
問5:自動制御及び情報処理
・自動制御(大まかな流れを把握する)
※難しいラプラス変換の知識は不要
問6:電気計測
・様々な計器の原理や使用範囲(知識問題)
上記内容でしっかりと点数が取れるようになれば、必然的に合格ラインまで点数が引き上げられます。
(他分野はとりあえず過去問解答とにらめっこしながら、少しずつ覚えていけばOK)
まとめ
ポイント
・過去問演習5年分実施でOK
・過去問>>>参考書
・重要分野を制するものが課目Ⅱを制す
エネ管課目Ⅱ「電気の基礎」は、重要ポイントを押さえれば容易に合格点までいける問題レベルです。
電気及び電子理論が苦手な方も、問題自体はオーソドックス+問題文の導出が丁寧なので、十分に得点源にできます。
コツコツと学習を進め合格できるように頑張っていきましょう。
↓エネ管受験必須の過去問題集
↓エネ管課目Ⅰの徹底解説
-
[エネルギー管理士(電気分野)]課目Ⅰ攻略方法(エネルギー総合管理及び法規)/学習方法付き
↓エネ管課目Ⅲの徹底解説
-
[エネルギー管理士(電気分野)]課目Ⅲ攻略方法(電気設備及び機器)/学習方法付き
↓エネ管課目Ⅳの徹底解説
-
[エネルギー管理士(電気分野)]課目Ⅳ攻略方法(電力応用)/学習方法付き